玉猫戦隊オーブファイブ ネズ神博士登場(7)
2004.12.17-01:44 #585
ネズ神博士登場(7)
オーブクローラーが、採石現場上空に到着した。
「ふぅ。さすがに、わし単身では、あのクローラーとやらには太刀打ちできんな」
単身......ネズ神博士は、端(はな)から淑大僧正を戦力外とみているようだ。
見放すかのごとく、岩陰に潜んだ。
「小僧、せいぜい傷でも引っ掻いてやれぃ。ふぉふぉふぉ」
:-
「司令、ネズボルトは、これ以上巨大化はしないようですけど、でも、再生を繰り返してどうしようもありません」
レッド・ミキが、珍しく泣きを入れている。
『オーブロボの推力強化ユニットを持ってきた』
「強化ユニット!?」
5人が一斉に復唱した。
『そうだ。バックパック方式になっている』
「でも、まだ見たこともないのに、どうやって使うんですか?」
ピンク・カオリは心配そうに尋ねた。
『詳しく説明している時間はなかろう。とにかくオーブメカ合体の要領で、こいつをロボの背中に装着させるんだ』
「カオリちゃん、やるしかねぇべ」
イエロー・マルの言う通りだ。
「ラジャー。司令、お願いします!」
『よし。行くぞ。装着した後は、今まで通りにロボを操縦すればいい』
「ラジャー!」
『猫背、送出!』
オーブクローラーを見上げるオーブロボ。
「(ユウカ)キャブモーター、オン!」
「(マル)エネルギー110%開放!」
「(カオリ)耐ショック回路、レベル7!」
「(チオリ)背面及び頭部シンクロレーダー、オン!」
オーブクローラーの左舷格納庫のハッチが徐々に開いてゆく。
「(ミキ)オーブロボ、ジャンプ!」
飛び上がるロボ。それに合わせて、クローラーのハッチからパーツが送出された。
シンクロレーダーによって軌道矯正されるとはいえ、ぶっつけ本番とは思えない華麗な動作で、難なく装着すると、ロボは地上に立った。
背中の上部に、背面メイン推進ノズルをふた回りほど大型化したような具合で、強化ユニットはジョイントされている。まさにロボが「猫背」になったかのようだ。
シュゥーーン!
一瞬、停止音のような物を発した後。
ヴィィン! シューッッ!
激しい噴出音とともに、ロボの目の光が増し、背面と、腕、口元が発光した。
「うほっ! 猫背装着。ハイパーモードですよ、尾藤さん!」
肇間は、目を輝かせている。本当に、派手な攻撃が好きらしい。
「えぇ。まだトライアル中のメカですが、やってくれるでしょう、彼女たちなら」
尾藤は、相変わらず、ネズボルトと一体化した淑大僧正の頭を睨みながら、答えた。
それぞれのセクションメーターを見つめるオーブファイブ。その表情がみるみる明るくなる。
「す、凄い......5倍以上のエネルギーゲインがある!」
マルが驚く。
「反応も同じよ!」
ユウカだ。
「軽くなってる!? これなら、勝てる!」
ミキが改めて号令をかけた。
「ハイパーモード、発動!」
シュゥゥーーンッッ!
まるで身震いするかのように、オーブロボの全身が唸ると、次の瞬間、ロボの口元から、猫ヒゲのような光が噴射。さらに、背面のメインノズルからも大きな噴射が。それはまるで怒りで太くなった猫のシッポのようだ。
フゥゥゥーーーッッ!
見栄を切ると、「猫背」のシルエットも加味され、敵を威嚇する猫そのものの姿だ。
「な、何だ!? そんな猿芝居は通じんわ!」
びびりながらも、なお空元気のネズボルト化した淑大僧正。
「『窮鼠猫を噛む』という言葉を知らんのか」
腕を振り回す。オーブロボの頭に当たり、ロボが少しよろける。が、問題ない。
「うっさいわね! ほんと、今のあなたは窮鼠! それに、猿じゃなくて、猫よ!」
ロボは体勢を建て直し、左右に体を振って、フェイントをかけている。
「パンチってのは、こうやるだ。いくどっ!」
「ブギャァァ!」
ロボのパンチを食らったネズボルトの頭が、どす黒い液体の弧を描いて、吹き飛んだ。
「ふん。本体の頭はこっちだ!」
ネズボルトの腹部にある、淑大僧正の顔が言った。
「あら、そう。じゃ、失礼っ!」
今度は、その腹部に、膝蹴り。
「ぶげっ!」
「教えてくれて、ありがとう!」
もう一撃。
「ぶげげっ!」
淑大僧正は、緑色の何かを吐く。
「きゃぁっ。ばっちぃ!」
淑大僧正は、白目を剥いている。しかし、そのまま口を開き、マンダラを唱えてる。
「逝っちゃった?」
「まだです、ネズロン反応がピークです!」
チオリが叫ぶ。
淑大僧正の口が更に開き、もうほとんど腹全面が口と思うほどだ。
「さがるわよ!」
今までとはまったく違う機敏な動作で淑大僧正から離れるオーブロボ。
「司令、全部の機能がパワーアップしてるんですか?」
『ミキ、その通りだが、あくまでも補助パーツだ。稼働時間は短い』
「ラジャー!」
ミキは、てきぱきと指示する。
「マルちゃん、残りは?」
「お。やる気だな。130%維持で2分だす」
「ラジャー。いくわよ! せぇの!」
「(全員)オーブウェーブ・ハイパー!」
オーブロボの胸にあるエンブレムから、その大きさ以上の光の束が発射された。ネズボルトの腹部、淑大僧正の顔目がけて突き進む。
「ぐわぁぁっっ!」
淑大僧正の口からも、緑色の粘土状の束が吐き出された。オーブウェーブ光と衝突。
バリバリバリ......。
数秒間混戦していたが、ついにオーブウェーブ光が淑大僧正の口に刺さった。
「ブギャァァァァァァァッッッッッッッッッーーーーー!!」
ちゅどどーん。
断末魔とともにネズボルトと一体化した淑大僧正の姿が消滅した。
ネズボルトは、今までよりも細かい瓦礫になって、もう再生はしなかった。
尾藤が、慎重に瓦礫に近づく。
そこに、淑大僧正が倒れていた。
「無様のよぉ......」
微かな声で、ひとことだけいうと、淑大僧正は、息絶えた。
黙って見ている、尾藤。
淑大僧正の姿が、徐々に変って、かつての吉行淑之の顔に戻った。
「......吉行」
尾藤は、吉行の目を閉じてやった。
(8)[完]につづく
玉猫戦隊オーブファイブ 第13話「出た!最強最悪の新幹部登場だぞ!」より
ねこぱんち!
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